遺品整理がすすまないのは当たり前
遺品整理がすすまないのは当たり前
遺品整理とは、故人の残された家財(家具・家電・生活用品全般)を片付けることです。
一般的には親が亡くなった場合、子が主体となって行うケースが多いのですが、そこには遺品整理になかなか踏み出せない実態が見えてきます。
今回は遺品整理に踏み出せない理由についてお話しするとともに、だからといって放置しておくと発生する問題についてご紹介します。
踏み出せない3つの理由
その1.遺品整理は親や思い出との本当の別れ
出棺の時に、最後のお別れをしますが、本当の別れは遺品整理の時にやってくるとも言われています。親が暮らしていた家や使っていた品には、思い出や親の温もりが残っています。一緒にテレビを見ていたリビング、いそいそと食事を作ってくれたキッチン、鼻歌が聞こえてきたバスルーム。それらの生きた証を片付けるということは、自分を生み育ててくれ、ずっと一緒に生きていた親の死を、真正面から受け止めることでもあります。そのため、心情的につい後回しにしてしまうことが多いそうです。
賃貸物件に住んでいた場合には、家賃などの発生もあるため、早々に遺品整理の必要に迫られますが、持ち家だと、先延ばしにしてしまうケースが多いようです。
その2.とにかく物が多い
二つ目は、物の量に圧倒されて、どこから手を付けていいかわからなくなることです。高齢者世代は、「もったいない」精神で物が捨てられず、いつか使うかもしれないからと必要以上に物を溜め込んでしまいがちです。また、必要かどうかの判断力の低下、片付けるための体力の低下も、高齢者がものを溜めてしまう理由です。遺品整理の後に出た廃棄物の量は、一般的な一戸建てで、通常2トントラック5台分以上になるといわれています。片づけても片づけても減っていかない荷物の量に途方に暮れてしまい、遺品整理が頓挫してしまうこともよくあります。
その3.実家と自宅が離れている
三つ目には、親世帯と子世帯が離れていることです。核家族化し、親と同居していない子世帯が増えています。内閣府の調査によると、65歳以上の人がいる世帯の中で、「単独世帯」「夫婦のみ世帯」が全体の過半数を占めていて、年々その世帯数が増えてきています。
(出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書」による)
実家が離れた場所にあると、遺品整理のために通うのも大変ですし、もしくは仕事を休んで何日か泊まり込むということになるとさらに大きな負担です。押し入れや棚、物置や倉庫などにぎっしりと詰め込まれた物は、小さいものだけではなく、大型ごみもありますからその処分方法なども考えなくてはいけませんし、冷蔵庫やテレビなどは家電リサイクル法に従って処理しなくてはいけません。3LDKほどの家でも、ごみ袋200個分以上の廃棄物が出るのが普通です。かなりの手間と時間を覚悟する必要があります。
以上のように、遺品整理は精神的にも肉体的にも多くの負担を強いられる作業だといえます。
大変な部分はプロにお願いしてもいいんです
できれば身内だけで行いたいと思うものの、家が遠方だったり、物が多かったり、時間的な余裕がなかったりしてなかなか整理が進まないなら、遺品整理を代行してくれる業者にお願いするのも一つです。業者によっては、家の片づけだけではなく、価値のあるものを買い取ってくれたり、人形や仏壇などの処分しにくいものを供養してくれたり、不動産の処分などの相談にも応じてくれるところがあります。
残したいものを相談しながら整理を進めてくれる業者もありますので、思い出や財産を守りつつテキパキと遺品整理を終えることができるでしょう。 次回は、気が進まないからと遺品整理を先延ばしにしてしまうと招いてしまう、思わぬ損失についてお話しします。